『ブレットトレイン』。伊坂幸太郎の原作をブラッド・ピット、真田広之ら豪華キャストによってハリウッド映画化。
外国から見る日本の描き方って、色彩が強調されたネオンの街並みに意思疎通ができない東洋人の国というのがオーソドックスだと思うのだけれど、本作は英語が通じる日本人もたくさんいるし、あらゆる人種の外国人が街に普通に溶け込んでいて、外国映画における日本もアップデートされたみたい。
闇に浮かぶ富士山は、やけに山肌の凸凹にはっきりと影をつけて、かっこいいマッチョ富士山になっていたし、ゆるキャラも目立つモブくらいな位置付けでクールでポップな世界。
一方で、ヤクザの屋敷内では、組長を囲んでの記念写真とか、時代劇にしか見えない桜花びら散る中での日本刀同士の立回りなど、新旧織り交ぜた「日本といえば」ピースが繋ぎ合わさったネオ日本になっておりました。
ストーリーは、京都に向かう新幹線を舞台に、世界から集まった殺し屋たちがデッド・オア・アライブの戦いをひたすら繰り広げるというもの。
バトルはかなりハードなアクションで、年寄りであろうと女子学生であろうと相手に一切手加減なしの潔さが清々しい。
手に汗握るアクションの中でも、ブラピは眉を八の字にして「参ったな」と言い、困り果ててはいるものの鬼畜な所業を緩めない。
これぞ俺たちのアメリカ映画。
キテレツかつ間抜け極まりない主要キャラの中にあって、異彩を放つのが真田広之が親を演じる日本人親子二人組で、彼らだけが質実剛健、星一徹&飛馬的なストイックさを見せる。
口を開けば、「父親とはーーー」って、背筋伸ばして静聴しなきゃいけない。
日本人のこのかたーいイメージを外国映画から払拭するのは、残念ながらまだ先のようだ。
最後に。真田広之の最大の見せ場でBGMに『HERO』が流れます。
しかも麻倉未稀による日本語バージョン!
これ、80年代に小学生を生きた私は、曲が分かった時点で脊椎反射。
胸熱!
真田広之のスゴさをモリモリに盛ってくれます。
自分的にはここが最大のネタバレでした。