『劇場版ほんとにあった!呪いのビデオ100』MAスタジオで『ほんとにあった!呪いのビデオ96』でナレーション収録をしていた『ほん呪』元演出の中村義洋。収録予定の一本が、20年以上も前に自分が演出を担当していた時に投稿されていた映像と同じであることに気づく。
夏休みのお楽しみといえば、昼にしたり顔の新倉イワオが解説をする「あなたの知らない世界」や、夜のワイド枠の宜保愛子などが活躍していた心霊特番。
張り切って全制覇した後は、タオルケットから出た足や手が誰かに掴まれるかもしれないという恐怖で汗だくになりながらタオルケットをすっぽり被って過ごした夏の夜。
あんなに好きだったのに。
思えば遠くへ来たもんだ( ˊ̱˂˃ˋ̱ )
9月になってもまだ暑い夜、下高井戸シネマに『ほん呪』が来ているというので観に行ってみた。
知った風に略して呼んじゃったが、実は『ほん怖』と区別もついておらず、「呪いのビデオ100」というのは「投稿ビデオ100連発」のことだと思っていた。
正しくはシリーズ100作目ということ。
100!
なんか、さーせん!
一途に愛し続けているファンの皆様、なんか、さーせん!
心霊ものをかつてはこよなく愛していた者として、襟を正して観賞した。
作風は、ドキュメンタリーを装ったフィクション(ですよね?)。モキュメンタリーというもの。
24年前の投稿ビデオがAirDropで現代に甦り、見た者が次々に怪奇現象に見舞われる。
VHSからエアドロまで。心霊ものも確実にアップデートなのだ。
現在のエアドロ投稿者、次々起こる怪奇現象、そして元のVHSの作成者の調査がいい塩梅に配置されて、どんどん話に引き込まれた。
今回、『アヒルと鴨のコインロッカー』などで知られる中村義洋監督の姿を初めて拝見したのだが、なぎら健壱を彷彿とさせる人の良さを全身から醸し出していた。
飄々とした風貌と物言いがなんだかユーモラス。
高齢者施設に入所している関係者に話を聞く場面。
コロナ禍で家族しか入れないということで、投稿者でもある息子にカメラを持たせて取材を任せる。
中村監督本人はというと、外に面した面会室を見つける。
最初は遠慮気味に少し窓を開け、囁き女将ばりに息子に追加質問をさせていたのだが、
慣れてくると、食い気味に「その人の苗字は?」「職業は?」など、もはや窓ガラスがアクリル板化し、外から声を張っている姿に息子もタジタジに。
同席する施設スタッフも、絶対目に入ってるはずなのに注意することもなくただ座って前を向いているのもなんかリアルで、めちゃ笑った。
他には、若手スタッフと空き家で昔のVHSを探す場面も良かった。
日中に偶然関係者と出会い、話を聞いたりするうちに、監督が避けていた夜に空き家に入ることになる。
「心霊系YouTubeじゃないんだからさあ」と怖いものを撮ろう撮ろうとするスタッフを牽制し続けるのだが、一番良いリアクションをするのは間違いなく、監督。
監督とは良い役者でもあるのだ。
意外な要素に驚きつつ、最後にはすっかり怖がらせてもらった。
帰り道は誰かに見張られているような。
コロナにこれで罹ったら…。
AI先生が描いた「日本の幽霊」This art was created by #aipicasso