『バービー』完璧な夢の国「バービーランド」にハッピーに暮らしていた“定番“バービーに、ある日異変が。太ももに脂肪のセルライト!?完璧をとり戻すために、“定番“ケンとともに人間世界に乗り込むが───
全米で2023年に公開された映画の中でトップとなるロケットスタートをきり、そのままの勢いでワーナー・ブラザース映画の中でも歴史的なヒットを爆進中の本作。
このニュースや、公開前に批判を浴びたSNSでの「バーベンハイマー」騒動など何かとかまびすしいが、実はわたしはビジュアルが解禁されて以来、とても楽しみにしていた。
だって、バービーのマーゴット・ロビーはともかく、相手役のケンがライアン・ゴズリング!
ライアン、カッコいいよ、好きだよ…。でも、おっさんじゃん!!
ケンってティーンネイジャーとか20代くらいの設定でしょうよ。
バービーランドでのケンの初登場シーンは、やっぱり笑ってしまった。
超アメリカンな(そして古い)派手派手な衣装を着て、イメージ通り女の子を誘いまくりカッコをつけまくるケン。
そしてそれはおっさん。
完璧なプロポーションで完璧な笑顔のマーゴット・ロビーと、バービードールの数あるバリエーションが具現化した様々なバービー(とおまけのケンと派生ケン達)が歌い踊るピンクベースのカラフルなバービーランドの日常。
いやあ、完璧。期待通り。おバカだなあ。
アニメだったら違和感なくできるところを、あえて生身の人間(しかもちょっとズレてる)が演じることで、ニヤニヤを引き出している。
この映画のスゴいところは、やっぱり配役の妙!
物語が動いて、実際の人間社会に行き、自分たちで幼い頃遊んでいた人間と出会うことによってバービーもケンも変わっていくのだけれど、覚醒後のケンを見るとライアンにしか務まらない役だったんだと唸った。
アメリカやその他の国での大ヒットの要因は、かつてバービー人形が象徴した性的な魅力に溢れた憧れの女性像、バービーに寄せた悲喜交々。
バービーを踏み台にしたような今のフェミニズム運動やポリティカルコレクトが、実はお題目ばかりで現実社会ではまだまだ機能していないことを風刺たっぷりに描いてると思われ。
実際のアメリカ人の方たちの感じ方はどんなもんなんだろ。
言葉は字幕を見れば分かるし概念的なものも現代社会に生きているから分かる。
けれど、ちょっとしたセリフのニュアンスや行動の意味はやはりアメリカ社会にどっぷり入り文化を理解していないと難しいと感じた。
言うなれば、『翔んで埼玉』の面白さは日本国民なら分かるけれど、本当のおかしみは県民じゃないと無理、みたいな。
アメリカは、その分野ではリーダーで、バービー人形にだって、ダウン症バージョンもあれば車椅子バージョンも売られてる。
日本から見ると月ほども先を行っていると思っているけれど、それでも彼女ら彼らの理念には程遠い現状だから声高に正当性を主張するんだ。
と、ジェンダーギャップ指数125位の此岸で、ことのほかぼんやりと生きているわたしは思った。
映画の中で一つだけ心残りな件(ケン)。
派生ケンの中に東洋人のケンがいるのだけれど、目を細めてみると浅野忠信に似ている。
そう思い出すと最後には本人にしか見えなくなる。
上にグリーンのランニングを着て下にグリーンのランニングパンツを履いて踊りまくるケン。
ライアンの“定番“ケンのライバルでもあるので、これ本当に浅野忠信に演ってほしかった!
AI先生た描いた「バービー」I created this art by #aipicasso