参上ルルのブログ

映画を観て思ったことを徒然と。

撮影クリストファー・ドイルの中国名は杜可風

花様年華』「WKW(ウォン・カーウァイ)4K」特集で鑑賞。『花様年華』制作20年を記念して4Kレストアにするプロジェクトが立ち上がったという。舞台は1962年の香港。新聞社に勤めるチャウと、商社で社長秘書として勤めるチャンは、同じアパートの隣人同士。偶然同じ日に引っ越してきた。やがて、互いの伴侶が不倫関係にあることを知った二人は、細やかに密やかに互いを思いやる情を深めていく。

 

初公開当時にどこかで読んだ評を思い出した。「メロメロなメロドラマ」

確かにい〜〜。

まずは、なんと言ってもトニー・レオン

この作品でカンヌ映画祭の主演男優賞を受賞した。

匂い立つ色気にクラックラする。

1960年代という古くモダンななんともアート的なセットの中で、トニー・レオンと『キューポラのある街』の頃の小百合ちゃん似のマギー・チャンという美男美女が付かず離れずを繰り広げる。

裏切った伴侶へ憎悪を燃やし、当てつけに浮気し返そうという意図はない。

キスシーンの一つもない。

ただただ自分が悲しく、同じ境遇にいる目の前の異性にシンパシーを感じるのだ。

どちらか一方が相手に入れ込んで突っ走る訳でもない。

時が経ち、相手が勇気を出して踏み出そうとすると、一方が引く。

二人の潔白は保たれたまま、二人の間の密度だけが濃くなっていく。

行く末は駆け落ちか心中か、という危険な香りを仄めかせながらも、二人は決して「一線を超えない」。

観客の我々は、ただただ、この二人が紡ぐ密やかで艶やかな空気感に当てられてボーっと見惚れてしまうのだ。

 

なんなんだろう。代わりになりそうな日本人俳優がとんと思い浮かばない。

日本人にはない個性といえば、トニー・レオンのヘアースタイル。

黒髪を横分けしているんだけれど、きちんと膨らみを持たせてポマード?今で言うワックス?で軽く固めている。

最近流行ってたアメリカン・ハイスクール「卒アル」フィルター風。

時代は進むが、わたしの大学時代、帰国子女の男の子たちは横から流すか前髪立たせるかの違いはあったけれど、みんなテラテラと髪に何か塗っていたことに軽いカルチャーショックを受けたことを思い出した。

90年代、日本では吉田栄作を筆頭にさらさらヘアが全盛で、髪を固めてるって言うとリーゼントとかそっち派閥かリーマンおぢに限られてた気がする。

この映画のトニー・レオンの横分け。イギリス統治下の香港だからだ、きっと。

欧米のカルチャーのもとでは、いいとこの育ちでオシャレに気を使うメンズは髪に何か塗る。

2020年代の今は分からないけど、少なくとも60年代〜00年代の間はそうだったはず!

勝手に腑に落ちた。

 

マギー・チャンは、色気という点では残念ながら今回はトニー・レオンに軍配が上がってしまうのだけれど、スタイル抜群でチャイナドレスが良くお似合い。

映画の中では、女性は皆日常的に膝丈のチャイナドレスを着ていて、ボディラインを隠しようがない。

マギー・チャンに生まれついてたら、そりゃ毎日鮮やかなチャイナドレスを楽しみたいわ。

うらやまじいー…。

わたしがこの世界に生きるとしたら、家政婦のおばちゃんになって、カンフーの修行僧のような白い道着みたいなの着るしかない(泣)

日本の着物、あんたサイコーだよ。ご先祖様、ありがとう。

 

花様年華」の意味は、「人生で最も輝く瞬間」。

結婚後の、この秘めたロマンスが、二人のハイライトだったなんて。切ない。

ちなみに、この二人が現代に来たらどうだろう。

性的同意アプリでの双方の意思を確認なんてなったらどんな顔するのかしら。

何年経っても忘れない、忘れられない、なんてことは無くなるかも。

「あ、なし?はい、次」なーんて。

ロマンは遠くになりにけり。

 

AI先生が描いた「花様年華トニー・レオン」This art is create by #aipicasso.