参上ルルのブログ

映画を観て思ったことを徒然と。

小悪魔のお手本

『わたしがやりました』1930年代のパリ。有名映画プロデューサーが自宅で殺された。容疑者は、自宅を訪れていた若手女優のマドレーヌ。マドレーヌとルームシェアし、貧乏生活を一緒に耐え忍んでいる新人弁護士ポーリーヌは、マドレーヌの置かれた状況を逆手に取り、法廷内でマドレーヌを悲劇のヒロインに仕立て上げた。陪審員の心を鷲掴みにしたポーリーヌは、見事に無罪を獲得。新しい時代に声を上げる女性として一躍時代の寵児となる。結果、マドレーヌとポーリーヌは、豪邸に引っ越し優雅な生活を手に入れた。しかし、自分が真犯人だと主張するかつての大女優オデットが現れ…。フランスのユーモア溢れるクライムミステリー。

 

1930年代が舞台ということで、ファッションがクラシックでおしゃれ。

映画の始まりは、マドレーヌとポーリーヌは貧乏コンビなので服装が質素なのだけれど、さすがパリ。

下手したら戦中の工場の制服みたいなのもあるんだけれど、なんだか分からないけどオシャレなのだ。

これがエスプリの為せる技?

そして一大センセーションとなった無罪獲得を足がかりに、セレブになった後のゴージャスなファッションは言わずもがな。

このセレブになった二人とかつての大女優オデットのファッション競演は眼福です。

映画自体が真犯人をめぐるクライムミステリーという括りではあるのだけれど、始終交わされている会話はウィットに富んでいて、軽快で愉しいスウィングジャズをずっと目で聴いている感じとでも言おうか。

フランス語が理解できないのがかえすがえすも残念だなあ。

もし分かれば、三谷幸喜くらいのたたみかけるおかしみの応酬になっていそう。

 

女優が殺人事件の容疑者を踏み台にして、のしあがろうというストーリーラインが、『シカゴ』を思い出させた。

あちらの舞台も1920年代ということで、社会における女性の地位の低さというのは

パリもシカゴも似たり寄ったりと思われ。

似たようなテーマなのに、こんなにも違った仕上がりになるのが面白い。

『シカゴ』は、なんといってもキャサリン・ゼタ・ジョーンズ姐さんの迫力にとって喰われそうだし、レネー・ゼルウィガーのあざとかわいさの凄みは田中みな実くらいでは足元にも及ばない。

成り上がるための二人の必死な形相が、夢に出てきそうなりそうなくらいだったw

翻ってこの『わたしがやりました』。マドレーヌとポーリーヌは20代前半ということもあって、二人が額を寄せ合ってヒソヒソやるところなんて、教室で女学生が悪巧みをしてるのを見るような可愛らしさ。 

後半に登場するキーマンであるかつての大女優オデットを演じるイザベル・ユペールが流石の風格なのだけれど、作風にうまくマッチしたキュートでポップな美魔女になってた。

フランソワ・オゾン監督の作品は、シリアスドラマの「言葉に出さずともその感覚分かるよ、分かるよお」な作品、例えば『まぼろし』とかが大好物なのだけれど、本作のような軽いコメディも一級品に仕上げるその才能。

実に恐るべし。

 

AI先生が描いた「二人のパリジェンヌ」のイラスト。This art is created by #aipicasso.