参上ルルのブログ

映画を観て思ったことを徒然と。

信仰娘とふゆかいな大人たち

裁かるジャンヌ』監督はデンマークの巨匠、カール・Th・ドライヤー。1928年制作のサイレント白黒映画。タイトルのジャンヌとは、ジャンヌ・ダルクのこと。百年戦争ののち、捕えられたジャンヌがかけられた異端審問の顛末を史実に忠実に描く。少女の受難に我々は何を思うのか───。

 

頭悪過ぎてすみませんっ(汗)。

ジャンヌ・ダルクってなんで救国の英雄なのに火炙りの刑に処せられたんでしたっけ?

と思いウィキってみたところ、農夫の娘であるジャンヌは「神の啓示を受けたとしてフランス軍に従軍し、イングランドとの百年戦争で重要な戦いに参戦し勝利を収め、各都市をフランスへ取り戻し、のちのフランス王シャルル7世の戴冠を成功させた」。

ふむふむ、そこまでは。

「その後ジャンヌはブルゴーニュ公国軍の捕虜となり、身代金と引き換えにイングランドへ引き渡された。イングランドと通じていたボーヴェ司教ピエール・コーションによって『不服従と異端』の疑いで異端審問にかけられ、最終的に異端の判決を受けたジャンヌは、19歳で火刑に処せられてその生涯を終えた」。

ん、ん??

ブルゴーニュってフランスでしょ。なんでそこで捕虜になる?

とさらなる疑問で、ChatGPT先生にお尋ねしたところ、「この時期、ブルゴーニュ公フィリップ3世はイングランドと同盟し、フランス内部で反乱を起こしていました」。

「ジャンヌはブルゴーニュ公の支配地域で戦闘を行い、1430年5月23日にコンピエーニュの戦いで捕虜になりました。この戦いで、ジャンヌは包囲された都市コンピエーニュを解放しようとしていたが、包囲軍によって捕らえられました」。

ここまで来て、やっと映画の前段階がわかったぞー!おー!一緒に勇敢に進みましょうぞー!

 

トーキーよりも前のサイレント映画ということで、途中寝ちゃうかもなんて思いながら観始めたが、映画の80%を占める顔のアップで観てるこっち側に緊張を強いられる。

言うなれば顔圧。

寝るどころか、重ーくのしかかる98分。

次々出てくる聖職者の顔も、よくこんな絵に描いたような悪役顔を集めたなという見てて飽きない顔ばかりなのだけれど、やっぱり主役のジャンヌちゃん。

髪を短く切リ頬はこけ、質素な衣服を着て殉教者という風貌。

映画の中では、ずーっと三白眼ばりに大きな目をさらに見開いている。

顔占め80%のうち、90%がこの顔と言ってもよいほど。

このドアップ顔で「なんで私はこの状況に置かれているのかわからない」とずーっと訴えかけるのだ。

言葉ではなく。

極悪同盟のおじさん達にどんなに脅されようと、自身の神への忠誠を曲げないジャンヌなのだけれど、心身ともに消耗したところを言葉巧みに誘導され、一度は信念を放棄しかける。

絶体絶命の中、神のご加護によって?ジャンヌは絶大な信仰心を取り戻し、処刑台への道を選ぶ。

 

ここなんですよ。

せっかく信心を曲げることで命は救われるという道を示されているのに、「神のお導きによって私は信心をとる(そして死にます)」という覚悟。

神は信者を死なすのかなあ。いや、彼らにとって死は死じゃないからいいのか。いいのか?とか。

自分じゃない他者は、いつだって底知れないです。

ジャンヌが処刑台に上がる決心をした時に、一筋の涙を流し今までとはうって変わった柔らかい表情で手を合わせ天を見上げる。

その時の表情と言ったら…!それこそ天女が浮かべるような至福の表情。

このひとときの表情が、この映画の最後のそして最大のピース。

彼女だけの神との対話があったのだろう。

 

AI先生が描いた「ジャンヌ・ダルク」This art is created by #aipicasso