参上ルルのブログ

映画を観て思ったことを徒然と。

タラちゃん。幼児じゃない方

クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』1992年に『レザボア・ドッグス』で映画界に彗星のごとく現れた映画監督タランティーノ。デビュー以来数々のヒットを飛ばしてきた彼は、監督作10作目で引退するという。タランティーノと仕事を共にしてきたスタッフとキャストがその仕事ぶりを語るドキュメンタリー。

 

証言があった。タランティーノは90年代のヌーベルバーグだったと。

確かに『レザボア・ドッグス』の登場は、今でもわたしも覚えている。

当時、マメにチェックしていた『ぴあ』や『Cut』なんかの映画新作紹介で、「レンタルビデオ屋で働いていた映画オタク監督が、現代版フィルム・ノワールで映画界に殴り込み!」くらいな興奮そのままの記事に「これは観なければ!」とこっちまで期待で鼻穴を膨らませてた。

 

肝心の映画はやっぱり観たこともない面白さで、そこからタランティーノという名前を追っかけるうちに、あれよあれよという間に世界的なスター監督に。

最初にみた近影は、人の良さそうな表情にダサ白Tを着るやけにガタイの良いオタク青年といった感じだったが、次に見つけた写真は、黒スーツをビシッと決めてレッドカーペットを有名美人女優をエスコートする精鋭監督のテイ。

なんだか容姿もどんどん磨かれて、女優とのツーショット写真のオシャレ写真も出回るようになった。

そうすると、あら不思議!サングラスをきめた松田優作かと見まごうくらい…目を超細めて見れば?

 

けれど撮る映画撮る映画がことごとくヒット作になるのと同時に、貫禄が出たのは確かで。

中でもやっぱり個人的には『キル・ビル』。

ユマ・サーマンに「斬リタイ鼠ガイル」とシビレる日本語セリフを言い放たせ、サニー千葉の登場に音楽は梶芽衣子の『怨み節』と、なんとも日本愛に満ちたアクションチャンバラ映画だった。

ところが、このドキュメンタリーの中では身近なスタッフは、『キル・ビル』に関して「タランティーノは香港映画に恋してるのさ」と物知り顔で語っており、思わず「ちーがーうーだろー!」と胸ぐらを掴んで揺すりたくなった。

それだけ、わたしも日本人としてタランティーノからの愛され感を自負してる、ってことかしらん。

 

映画の終盤は、MeToo運動のワインスタイン問題が語られた。

ミラマックスのトップとして、タランティーノを街角のオタクから世界のスター監督へとのし上げた最大のパトロン

この業界最大の怪人の前では、映画に夢中の天真爛漫のタランティーノも保身が精一杯のただの小童だった。

問題が表面化した頃には、タランティーノだって押しも押されぬ大監督で、自分が恋焦がれたミューズのためなら立ち向かえたんじゃないかと思えるだけに、タランティーノの言い訳はがっかりでしかないし、タランティーノならばと頼ってきた女優も気の毒でならない。

タランティーノ自身も、この騒動で無傷ではいられなかった。

しばしの期間を置いて、新しいパートナーのソニー・ピクチャーズから『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を発表し、業界に返り咲いたタランティーノ

監督10作目となる次の作品で引退すると公言している。

レンタルビデオ屋で夢見た世界は、酸いも甘いも経験し尽くしたあと、どんな姿を見せるのだろうか。

AI先生が描いたタランティーノ。This art is created by #aipicasso