『イノセンツ』ノルウェーの団地。夏休みで閑散としたその場所へ9歳の女の子イーダと自閉症の姉のアナは引っ越してくる。仲良くなったインド系の男の子ベンは、集中すると物を動かせる不思議な力を持っていた。また、発話が難しいアナと意思疎通ができる女の子アイシャも遊び仲間に加わった。無邪気に遊ぶ4人だったが、その強度を増していくサイキック・パワーは思いがけない方向へと暴走していく。
最近の子どもがメインの映画って、ほんと子どもの自然な演技が素晴らしい。
是枝監督の『怪物』やフランス映画の『クロース』など、ただただ子どもたちを自然に遊ばせてそこをカメラで切り取るのではなく、子どもたちが大人が考えたストーリーを理解して振る舞ってる様が何とも自然なのだ。
この『イノセンツ』も然り。
メインの4人、特に主役となるイーダは特に愛らしい顔つきというわけでもなく、言い方は悪いがその辺にいる女の子の代表。
ブスッとしてる表情は奈良美智の女の子に似てるかも。
親をつきっきりにさせてしまう自閉症の姉アナに、親に分からないように退屈しのぎに意地悪したり、時には度を越したイタズラで傷つけても瞬間驚き反省はしても次の瞬間には忘れてしまう。
その自然な演技が、観ているこちらを「あの時」のイヤなガキだった自分に引き戻す。
画面を見ながら二重写しで昔の自分を見て苦い思いがじわーっと広がっていくのに耐える。
最近は、演技がすごい子ども映画が多くて、この感覚が増えてしんどいわ、ほんと。
子どもたちの自然な演技の真骨頂は遊んでいるとき。
楽しい遊びが見つかると無邪気すぎてまるでちいかわ。
「ぼく、モノを動かせるんだよ。この枝持ってそこに立って」
「ここ?」
「もうちょっと奥。OK。。。(集中している)顔見ないでね」
「わかった」
「見ないで!」
バキッ
「わぁ、すごい!すごい!」
「えへへっ」
そんな100%ちいかわの彼らが、純粋にもっとやろう、もっとやろうと能力を遊びながら開発していくと、能力を暴発させる子が出てきてしまい…というストーリー。
純粋な好奇心が能力を磨き、ちいかわゆえに善悪の判断ではなく好き嫌いで後先考えずに能力を使ってしまう。
結局はモンスターになってしまう男の子が切ない。
ちなみに、監督は大友克洋の『童夢』にインスピレーションを受けて制作したそうで、『童夢』を知っている人からするとかなりまんまのシーンが多数あるらしい。
わたしは『AKIRA』しか知らないので、キヨコたちの肉体が老化せずアキラみたいに子どものままなら、この『イノセンツ』がすっぽり『AKIRA』の物語に入り込んで別バージョンができたかも、なんて夢想しました。
AI先生が描いた「砂場で遊ぶ子供たち」のイラスト。This art is created by #aipicasso.